It’s New Camera


2018年3月に発売されたEOS Kiss M。

「Kiss」の名を冠することからも明らかなように、本機はレンズ交換式のシステムカメラ入門者をおもなターゲットにしたエントリーモデルだ。
ボディ単体のほか、標準ズーム付きキット、望遠ズームも付いたダブルズームキット、高倍率ズーム付きキット、標準ズームと単焦点レンズが付いたダブルレンズキットという5種類のそれぞれにブラックとホワイトの計10種類のラインナップとなっており、販売店の在庫管理が大変そうである(まあ、一時期はトリプルズームだの、クリエイティブマクロだのまであったから、それに比べれば多少平穏なのもしれないが)。
既存の3機種との最大の違いは、画像処理を受け持つ映像エンジンが最新のDIGIC 8に変更されている点だろう。デジタルカメラにおいて、エンジンパワーの向上は画質やスペックに大きく影響するからだ。
AFまわりを見ると、デュアルピクセルCMOS AFなのは同じだが、測距点のカバーエリアが、従来(左右80×上下80%だった)よりも広がって、左右88×上下100%となった。また、測距点数も最大143点(左右13×上下11点配置)に増えている(1点AF時はもっと細かく選択できる)。現時点では、対応レンズがEF-M 18-150mm F3.5-6.3 IS STM、EF-M 55-200mm F4.5-6.3 IS STM、EF-M 28mm F3.5 マクロ IS STMの3本だけにかぎられるが、AF撮影でのフレーミングの自由度が向上したのは強みだ。
なお、EF-M 11-22mm F4-5.6 IS STM、EF-M 15-45mm F3.5-6.3 IS STM、EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM、EF-M 22mm F2 STMの4本では、左右80×上下80%の範囲で99点(11×9点配置)測距となる。
新しく瞳AFが追加されたのも見逃せない。サーボAF(コンティニュアスAF)に対応していないのは少々残念だが(個人的には、ゾーンAFや1点AFでは顔・瞳検出が使えないというのも不満に感じる点だ)、自動的に近いほうの目を選択する仕様で、かつタッチ操作でピントを合わせたい目を選べるようになっているのは便利だと思う。
スペックにはあらわれない部分では、オートライティングオプティマイザの強化もある。顔検出と連動することで、人物の顔の領域内の白飛びを軽減。輝度の高い部分の階調再現も向上していると言う。これにともなって、逆光時の露出制御が、従来よりやや明るめに調整されるようになり、人物の顔が暗くなりにくくもなっている。
また、撮像センサーからの映像情報を利用してブレの量を判定、これを利用して手ブレ補正の効果をアップするデュアルセンシングISも搭載された。対応レンズはEF-M 15-45mm F3.5-6.3 IS STM、EF-M 18-150mm F3.5-6.3 IS STM、EF-M 55-200mm F4.5-6.3 IS STMの3本のみだが(ファームウェアのアップデートが必要)、手ブレ補正効果が0.5段分ほどアップするという。
連写スピードも、AF追従で約7.4コマ/秒、ピント固定で約10コマ/秒に高速化している。これはEOS MシリーズでもEOS Kissシリーズでもトップの数字となる。なお、連写可能な枚数は、JPEGラージ/ファインで約33枚、RAW(C RAWの可能性がある)では約10枚となっている。
RAWのファイル形式が「CR2」から「CR3」に変更され、新しくファイルサイズの小さな「C-RAW」が選択できるようになった。通常のRAWと比べるとやや画質は低下するものの、連写可能枚数の増加やバッファメモリーが解放されるまでの時間の短縮、撮影可能枚数の増加といったメリットもある。
そのほか、4K動画への対応や拡張感度H(ISO51200相当)の追加、作動音のない電子シャッターを使うサイレントモードがシーンモードに加わったこと、初期設定のメニュー表示がシンプルな「かんたん」モードになったなども新しい部分だ。
なお、バッテリーの持ちは、エンジンのパワーが上がったことが影響しているのか、ほかの3機種(295枚)に対して本機だけが235枚と減少している。